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ドバイあれこれレポート

アメリカ発のサブプライムローンの破綻をきっかけに、昨年末から世界的な不況に突入しました。ドバイも不動産価格の下げ、株価の下落がはじまり、一部の日本のメディアでは「ドバイバブルの崩壊」とまで報道されています。

しかし実際には日本のメディアが伝えるような深刻な状態なのかどうか、ドバイのビジネスに精通しており、ドバイでコンサルタントをされている、ドバイネット(dubainet.biz)の代表でもあります、ミラージュ・グループ会長、福田一郎氏にドバイの現状を聞いてみました。


Vol.01:2009年02月19日

Vol.01 : インタビュー : ドバイ経済の現状

MIRAJ Group会長 福田一郎氏

DN : ドバイネット
福田 : 福田会長

DN : 早速、本題に入りたいと思いますが、日本では一部のメディアが「ドバイバブルの崩壊」と報道をしていますが、正直現状はどうなのでしょうか?

福田 : バブルの崩壊というのはちょっと言い過ぎだと思いますね。いかにも日本的な悲観論ですね。確かに、昨年末あたりから一部の不動産の価格は下がっていますし、株価に関しても大幅に下落しています。しかしこれは世界的な傾向であり、ドバイだけに特化したものではありません。

DN : もう少し具体的に説明してもらえますか?

福田 : 不動産の下げですが、私はこれをコレクション(修正)と見ています。2002年にフリーホールド制が導入されてから、8年間ドバイの不動産価格は右肩上がりで高騰を続けていました。不動産そのものが、一つの投資商品として扱われ、転売による転売を経て、実質価格からかけ離れた価格で取引をされていました。それもオフプランと呼ばれるまだ出来ていない物件が中心でした。これは正直不健全な状態でありました。
東京でもパリでもニューヨークでも、不動産はリアルプロパティーと呼ばれる実際の物件の取引が普通であります。従って、ドバイで広く行われていたオフプラン物件の転売というシステムが崩壊したと見ていいのではないでしょうか。
そういう意味ではドバイもこれからは、リアルプロパティーのマーケットになり今までのような実態のないものの投機的な不動産取引はなくなるかと思います。ですから、冒頭でも述べましたように、私はこれをドバイの不動産バブルの崩壊というよりは、不動産市場のコレクション(修正)であり、今後は良いもののみ残る、健全で透明性の高い不動産市場になると期待しています。

DN : 投資家にとってこれは良い状態ですね?

福田 : そうですね。市場の淘汰ということで、不動産会社にしてもデベロッパーにしても、本当に良いところしか残らなくなりますし、投資家も物件のクオリティーも含め、見る目は厳しくなりますので、物件のレベルも良くなると思います。一番大きな変化は、オフプランの物件はこれから売るのが非常に難しくなると思いますね。

DN : 不動産は今が買いなのでしょうか?

福田 : 世界的に今、何処の不動産も下がっています。ドバイだけでなく、ロンドンもニューヨークの不動産も下がっています。ですので、不動産を購入するには良い時期かも知れません。

DN : 具体的にドバイの不動産投資はどうなのでしょうか?

福田 : パームアイランドのプレミア物件でも確かにピーク時より40%ぐらいは下がっています。しかし、ランチ時の価格と比べると上がっているので、下落をしているとは言え、ランチ時に購入された方はまだまだキャピタルゲイン見込めます。またドバイはインフラも非常に整っていますし、ビジネス環境もトラスパシーであり中東のハブでもあることから、今後ドバイの経済的な立地の優位性がなくなるとも考えられませんので、ドバイの不動産が下がるとは私自身は思いません。

DN : ドバイに住んでいる私たちには非常な気になるのが家賃価格でもありますが、家賃も下がっているのでしょうか?

福田 : 過去の家賃の大幅な上昇は、ドバイの社会問題にもなり、2年間の家賃の据え置きや、5%のレントキャップなど、政府が色々と規制をかけたことによって、この問題も幾分かは緩和されました。今回の不動産価格の下げに伴い、家賃も一部の地域ではすでに10-20%程度は下がっていると聞いています。しかし家賃は、不動産価格以上に、需要と供給のバランスが家賃価格決定に影響しますので、急激に下がるとは思いません。ただ確実に言えることは、大幅な値上げもありません。

DN : さて、次に株式市場に付いてお話しをお聞きしたいと思います。ドバイの株価すごく下がっていますね?

福田 : そうですね。ドバイ株式市場の取引高の半分近くを占めていたEMAARの株価もAED 2を割りましたから相当に下がっています。しかしこれも冒頭にお話しましたように、ドバイ株式市場だけでなく、ニューヨークも東京もフランクフルトもどこも下がっているわけで、これは世界的な傾向です。

DN : 今後の見通しはどうなのでしょうか?

福田 : 中短期的には変わらないと思います。株価がある程度回復するには、1年以上はかかると思います。ですから、長期的に資金を寝かせられる余裕があれば買いかも知れません。短期でのキャピタルゲインは難しいと思います。

DN : 今後のドバイの見通しを教えてください。

福田 : 今年は「ドバイ」ではなく「ドバイから」が弊社のモットーでもありキーワードかと思います。ドバイ自体で何かビジネスを考えるのではなく、ドバイをベースとして他の地域へアプローチや、ドバイをハブ・中継地として利用するのがキーワードじゃないでしょうか。

DN : 実際にミラージュ・グループでは、何か考えているのでしょうか?

福田 : ミラージュ・グループでは、昨年からサウジアラビアにアプローチをしており、リヤドに銀行口座及び証券口座を開設をしました。これによって、サウジアラビアの証券市場での株の売買も可能になりました。また、会社設立や市場調査など、ミラージュ・グループがドバイで提供しているサービスが、リヤドのミラージュ・グループのパートナー経由で提供が可能です。
また、サウジアラビアとは別に、中央アジアのカザフスタンにも注目をしています。カザフスタン及びキルギスタンには、政府レベルでのコネクションを構築中で、2月末にはキルギスタン、3月にはカザフスタンへ視察に行くことも決定しています。

DN : 具体的に中央アジアではどのようなことを予定されているのでしょうか?

福田 : ご存じのように、カザフスタンは資源大国であり、非常にポテンシャルがある国です。国も広く、資源もあることはサウジアラビアとも共通しています。ミラージュ・グループが得意とし、モットーでもある「One & Only」の精神でサウジアラビア、カザフスタン共に、最初で唯一の日系コンサルタント会社として進出をし、ドバイで成功したビジネスモデルを双方の国で実践するつもりでいます。詳細に関しては、追って MIRAJ Management Consultants ホームページでご紹介をしていきますので、楽しみにしていてください。

DN : 非常にミラージュ・グループの今後の展開が楽しみですね。貴重なお話をありがとうございました。


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